矢野通選手の本は、読んだらあなたのためになる人生哲学書である。
先日、友人から「絶対、読んでもためにならない本 矢野通自伝」を返却してもらったので、久しぶりに読み返してみた。
同書の大まかな流れとしては矢野通選手が新日本プロレスに入団する以前からはじまる。幼少期から学生時代、彼はどのようにアマレスと出会い、日本選手権を制するほどの猛者になったのか?この点も十分に語られている。
だが、ただのプロレスラーの自伝本だと侮るなかれ。
新日本プロレスきっての曲者が生み出した本は、いわゆるプロレス本を通りこして、哲学書の側面を秘めているのだ。
まず、「絶対、読んでもためにならない本 矢野通自伝」というタイトルについて。逆説的なタイトル付けに矢野通選手らしさを感じる。目を通してみると分かるが、この本はタイトルとは真逆の本となっている。
アマチュアレスリング界、プロレスの世界で実績を残し続けている矢野通選手が誰にも何にも役に立たない本など出版するわけがないのだ。
プロレスラーが出版した書籍を読み説く『レスラー夜話』第2弾は『CHAOS』が誇る“敏腕プロデューサー”矢野通選手の書籍を紹介する。
真壁刀義選手や中邑真輔選手、オカダ・カズチカ選手が常に敬愛を示す矢野通選手のプロレス観や人生哲学がたっぷりと詰まった同書。
イッテンヨン『レッスルキングダム13』が迫る2018年の年の瀬。上質な日本酒の様にすいすい飲める、いや読める良書を、今年積んだ書籍よりも先に読んでみるのもありだと僕は思っている。
きっと、カッコつかないカッコよさを知るじかんになるだろう。